A君自身その本部長が社長の子飼いであることを知らなかったわけではなく、むしろ知っていたからこそ、社長に諫言できるのは、その本部長しかいないと思い込んだのでしょうが・・・
これは失敗でした。
本部長にしてみれば実父の悪口をいわれたようなもので、それを鷹揚にききのがすだけの雅量はなかったのです。
A君には"本部長に一時不愉快な思いをさせてもかならず解ってもらえる"という甘えがあったのでしょうが、甘えとは過大な期待をもつことです。
・・・この場合、本部長と社長のあいだの距離よりも自分との距離のほうが短い・・・
いえ、率直にモノを言うことにより短くなるはずであるという思い込みで、本部長が自分の意見を採り入れてくれると期待したところに甘さがあります。
恥部を暴かれて平気でいられる人間はすくないもの。
口先と腹はちがうのです。
会議などでも上司は決して正論を期待していないといわれます。
正論を吐くなら上司を選ばなければなりません。
包容力のある人、度量のあるご仁にたいしてなどなどですが、これらは往々にしてみせかけだけのことが多いですね。
・・・とくに豪傑笑いをする上司は要注意です。
真に自信をもっている上役なら、寛容に幼い書生論も受け容れてくれるでしょうが、それが書生論であることには変わりはありません。
A君のようなタイプには、自分の尺度でしかモノを考えられない弱さがあるのです。